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2013年09月07日

LM386

LM386を使用したアンプを製作した際,大きな音量を出そうとすると発振してしまうというトラブルをよく耳にする. この発振を抑えるためにデカップリングとして,AのようにRCフィルタを電源に挿入するケースが見られる.

自分自身も雑誌の記事などを見て何の疑問もなくそうしていた頃があったが,結論から言えばこれは全く無意味である.

LM386


Aのようにフィルタを入れてもIC内部の初段アンプと後段をデカップリングすることはできないどころか,VCC端子のインピーダンスを上げることになり余計に発振しやすくなる(Rの後に入ったCで差し引きゼロ?).
さらに,電源に直列に入ったRによってVCCに供給できる電流が制限され,出力電力が小さく歪が多いアンプになってしまう.結局,Rによって大きな音量を出せなくしているだけで,発振しない範囲で使うよう制限しているにすぎない.

またこのICは非常に発振し易いという記述も見受けられるが,Bypass端子(7) に何も接続されず放置されている場合が多い.Bypass端子はIC内部の初段アンプと後段をデカップリングのために用意されたもので,データシートのとおりBのようにコンデンサを入れるべきである.これをせずこの端子を放置していては発振しても仕方ない.このICが発振し易いのではなくデータシートの情報を無視した使い手の問題である.

LM386の前段にTRアンプを入れた構成もよく見かける.これはさらに発振のトラブルに遭う確率が高いようだ.

LM386


これも,対処方法の基本はデカップリングである.
つまり,A’のようにデカップリングすればよい.Aは前述したとおり全くの無用である.
RCフィルタでは効果が十分でない場合は,アクティブリップルフィルタやボルテージレギュレータなどを用いればよい.





Posted by Tetsuji at 19:13│Comments(0)
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